金沢大学能登里山里海SDGsマイスタープログラム

Program

金沢大学能登里山里海SDGsマイスタープログラム

里山里海SDGsマイスター2021年度

濱山 隆浩さん

 能登では多くの地域で秋祭りが行われていますが、人口減少と高齢化によって祭りの継続が各地域で課題となっています。この課題の解決に取り組んでいるのがマイスター修了生の濱山さんです。濱山さんの在住する珠洲市の粟津地区でも、他地域と同様、祭りの継続が課題となっています。濱山さんは、こうした状況を打破すべく、測量の仕事をする傍ら、県内の大学生に祭りに参加してもらう取り組みを行っています。

粟津の秋祭りに参加する濱山さん(左)


 奥能登2市2町と大学、石川県で構成される能登キャンパス推進協議会が、「能登・祭りの環」という事業で祭りに参加する学生を毎年度募集しています。この事業では2市2町それぞれ一地区ずつ受け入れ地域を設けていますが、粟津は珠洲市の受け入れ地区であり、地域側の立場でその調整を担っているのが濱山さんと濱山さんをはじめとした若手によって組織されている粟津自彊団です。祭りに参加する学生サポーターは、当日の祭り参加だけでなく事前学習にも取り組むのですが、粟津地区では自彊団
の皆さんが大学に出張したり、大学生に粟津に来てもらい現地で太鼓や篠笛の演奏指導をしたりと、祭り当日へ向けて大学生を手厚くサポートしています。9 月の祭り当日、学生が事前の練習の成果を思い切り発揮している姿を見ることができました。

 祭りは地域の神事であり、外部人材の受け入れには地域側にも大きな労力がかかります。学生が粟津の祭りに参加できるのは、粟津地区に外部人材の受け入れのノウハウが蓄積されているのはもちろんですが、何より濱山さんや自彊団の皆さん、そして地区の皆さんの祭り継続への熱意があってこそです。こうした活動を牽引してきた濱山さんは、2021 年度のマイスタープログラムの受講時は、祭りの継続のためにいかに学生を巻き込んでいくかというテーマで研究を行いました。そして今まさに地区の組織の
まとめ役としてそれを実践しています。「いつか従来通り開催出来なくなる祭りを、色んな人の力を借りて目一杯悪あがきして続けられるようにしたい」と濱山さんは言います。

 祭りの継続の危機は珠洲だけでなく全国的に共通する課題です。そうした課題解決に濱山さんと粟津地区の取り組みは大きなヒントになると考えられます。今後の活動に注目です。

海岸にキリコが並ぶ粟津の秋祭り