松本恵さんは、珠洲市内で兼業農家として稲作を営んでいらっしゃるマイスター修了生です。松本農園での稲作は、現在では希少となった昔ながらの作業を残しつつも、ドローン等の最新機器を取り入れたハイブリット形式をとっています。もともと食に携わる仕事をしていた松本さんは、ご結婚を機に珠洲市に移り、ご主人が継承されてきた田んぼで稲作を一緒に行うようになりました。いわゆる湿田で、足がとられる上に鍬等を使った重労働。それでも夏の暑い日も黙々と作業を続けていらっしゃいます。


−実際に稲作に携わってみていかがでしたか。
「最初はお米作りにはたくさんの作業工程があることに驚いたと同時に、コメ農家さんへの感謝の気持ちが湧き上がってきました。」
−マイスタープログラムを受講したきっかけと感想を聞かせてください。
「志を共有できる仲間が欲しかったというのが受講の動機です。2017 年に金沢大学のマイスタープログラムを受講したことで、同期をはじめマイスター関係者とのご縁をいただけましたし、また自分たちが行っている稲作が里山の保全につながっているということに気付き、誇りを持てるようになり、モチベーションも上がるようになりました。自分たちの稲作を次世代にも伝えていきたいと強く思うようになりました。」
ご結婚後、初めて松本家の作るお米を食べた際、「その美味しさに驚いた」という松本さん。今や松本農園のお米を食べた方からじわじわと口コミでその美味しさが伝わり、販売分は毎年売り切れている状況です。松本さんは、珠洲のお米、さらにお米を食べる文化の魅力を伝えるべく、最近は米粉を使った料理の勉強を始めたとのこと。そしてなんと今年3 月に松本さん発案の米粉レシピが、クックパッド株式会社と株式会社波里が監修したレシピ本に掲載されました(※)。
今後の松本農園の取り組みに注目です。

※クックパッド株式会社・波里監修『米粉で作るほうがおいしい料理』宝島社、2023 年